桜と彼が大好きでした。

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第九章 話 「ただいまー!ツキさーん!友達連れてきたー!!」 学校から帰ってきたカリンが玄関で叫んだ。 「おう!おかえりー。入れていいでー!」 玄関から喜んでいる声が聞こえてくる。 「お邪魔します。」 そう言って入ってきたのは学校でカリンと一緒にいた女の子だった。 冷静な目で私の方を見て、私のことを分析しているように見えた。 「この子はサキ!私のお兄ちゃんの彼女!んで大親友!!」 「サキちゃんいうんか!ゆっくりしていってな!」 サキがペコっと頭を下げる。 カリンのお兄ちゃんの彼女ってことは、死んだ男の子の…か…。 「カリン!冷蔵庫に甘いもんいっぱいあるから勝手に出してええよ。」 「ほんと!?ありがとー!!」 カリンが冷蔵庫の方に駆けていった。 サキと私の2人だけのリビングは、空気が張り詰めていた。 「ツキさん…でしたよね…?」 サキがこっちを見てそう言った。 「ああ。」 私は椅子をすすめる。 失礼します、と言いながら私の目の前の椅子に座ったサキは、 真っ直ぐに私のことを見つめてきて、 「ツキさんは、どのような目的でカリンをひろってくれたのですか?」 と聞いてきた。 サキの笑顔は、つくった笑顔に見えた。 「目的とかはあんまないよ。…強いて言うなら罪滅ぼしかなあ…。」 「罪滅ぼし…?」 サキが眉間にしわを寄せた。 「…私の正直な気持ちを言うと、そのような目的でカリンを  ひろってあげてほしくなかったです。  でも、カリンは喜んでいます。楽しそうです。笑ってます。  だから止めません。これからもよろしくお願いします。  …そして、率直に聞きますが、あなたはリクの何を知っているのですか?」 強い口調で、私を責めるような言い方をした。 勘がいいな、と思う。 「…私は___ 話した。まだカリンにも話していないことを言った。 サキの顔が歪んだ。 「おまたせー!いっぱい持ってきたー!!」 カリンがたくさんのプリンを持って戻ってきた。 「カリン、ごめん。私帰るね。」 サキが荷物を持って立ち上がった。 「え、何で?、どうしたの?サキ!?」 サキは、お邪魔しました、とだけ言って玄関から出ていった。 「サキ!」 カリンが、サキを追いかけて外へ出る。 「話さない方が良かったかな…。」 思わず本心が口から出る。 独り言は、リビングの静かな空気にとけて消えていった。
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