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真琴は学校帰りに病院に来た。
受付を済ませ待合室でしばらく待っていると看護師に呼ばれ、診察室に入った。
「久しぶりだな、真琴。今日はどうした?」
医師の長谷川京一が、優しさく声をかける。
「久しぶり、京兄」
京兄こと長谷川京一は、診療内科の先生で僕の主治医であり、家も隣ということもあり小さい時から良く遊んでもらっていた。一人っ子の真琴は兄のように慕っていた。
京一は真琴から症状を聞きとり、薬を処方する。
「しばらく薬を飲んで、様子を見よう。何か不安なことがあればいつでも連絡していいからね」
「うん。ありがとう、京兄」
真琴が診察室を出て行くと、京一は携帯を取り出し電話をかける。数コールで相手が電話に出た。
『もしもし?』
「俺だ」
『あなたから連絡なんて珍しいわね。どうしたの?』
「真琴の記憶が戻りかけている」
単刀直入に要件を言う。京一の言葉に相手が息を飲む。
『そう・・。何かあればすぐに連絡して』
「すまない。よろしく頼む」
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