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そんな湿っぽくなった空気を変えようとしてくれたのか、真弓がふざけて言った。
「でも揃いも揃って誰ひとり男いないのは笑える。」
「私はたまたまだし。たまったま最近別れたってだけだし。」
と奈々が強がり、またみんなで笑った。
「ねぇ、あそこにいる人達、いい感じじゃない?」
真弓に言われて彼女の視線の先を追うと、男性の三人組が目に入った。
なるほど、真弓も積極的だけど、あっちにも積極的な人がいるようだ。
むしろあちらの視線に真弓が応えたんだろう。
その積極的な爽やかイケメンが、こちらのテーブルに歩いて来た。
三人はテーブルの真ん中に顔を突き合わせて小声でやりとりした。
「どうする?もちろん行くよね。」
と真弓の目がキラリと光る。
「ん〜いいよ。」
と別れたばかりの奈々も満更では無さそうで。
「ねぇ、良かったら一緒に飲まない?」
どうやらその人は真弓に興味があるようで、真弓にそう言った後に奈々と杏の方に目配せした。
真弓が先ほどの勢いとは裏腹に、どうしよっか?と小声で相談するフリをする。
「ここのお店の裏メニュー、美味しいんだよ。食べてみたくない?」
そんなこと言われなくても多分言っただろうけど、三人はじゃあ…とクスクス小さな笑い声を溢しながら席を立った。
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