第一章 一番にはなれない私

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まあ、そんな会社なので、いくら彼が部長だからってこの家は立派すぎなんじゃないかと思ったわけなのだ。 「浴室はここです。 シャワー、浴びますよね?」 「そう、ですね」 一日過ごして汗を掻いている。 さすがに、このままじゃマズいだろう。 案内されたリビングに荷物を置き、浴室へ行った。 大理石でできた大きな洗面台のある脱衣所はまるで、高級ホテルのようだ。 服を脱ごうしたらドアがノックされ、手が止まる。 「はい」 「浴室側の引き出しにタオルが、その隣にバスローブが入っています。 よかったら使ってください」 すぐに外から富士野部長の声が聞こえてきた。 「ありがとうございます」 お礼を言い、それらしき場所を開けてみる。 そこには真っ白に洗ってある、バスタオルやバスローブが入っていた。 「自分で洗ってるのかな……?」 などと思いつつ、浴室でシャワーを浴びる。 部長には無理をお願いするのだ、少しでも不快な思いをさせないように、できるだけ綺麗に身体を洗った。 終わって、部長のバスローブを借りる。 「……ぞろびくんですが」 羽織ったバスローブは裾が床に着くどころか余っていた。 モデルのように背の高い彼と、服は低身長サイズでもいいんじゃないかってくらいの私とではそうなる。
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