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痛いのは最初だけで、次第に彼に溺れていった。
「裕司さん、裕司さん、愛してる……!」
うわごとのように、今まで一度も口にしたことがない気持ちを吐露する。
別の男の名で呼ばれているのというのに、部長は私を咎めたりしなかった。
それどころか。
「俺も明日美を愛してる」
まるで両想いのかのごとく、返してくれる。
部長は裕司さんじゃない。
わかっている。
それでも長年の想いが叶った気がして、私の心は満たされた。
ぐったりと疲れ、瞼を閉じている私の頭を、部長が撫でてくれる。
「満足したか」
「……はい」
目が覚めたら。
裕司さんを忘れよう。
明日からあの人は私にとって、ただの姉の夫だ。
私の頭を撫でる部長の手が気持ちよくて、そのまま夢も見ない深い眠りへと落ちていった。
「着替え、置いとくな」
「あっ、はい!」
声をかけられ、意識が過去から現在へと戻る。
昨日はあれでいいと思ったが、今は富士野部長にどんな顔をしたらいいのかわからない。
置いてあった着替えはTシャツとハーフパンツだった。
とはいえ私が着ると、Tシャツはミニワンピ丈だし、ハーフパンツも七分丈くらいになったが。
「着替え、ありがとうございました……」
リビングへ行ったが部長の姿はない。
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