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『清恵さんって付き合ってる人、いるのかな?』
ふとした弾みで出た彼の言葉で、彼の目が姉に向いているのだと知った。
……ああ。
私は恋でも姉に、敵わないんだ。
ふたつ年上の姉は勉強もスポーツもできて器量もよく、みんなの憧れの的だ。
これでなにも欠点がないのなら、それが反対に欠点になって人から嫌われそうだが、適度に可愛らしく抜けている。
完璧なのにちょっとドジと、本当に完成された人間なのだ。
別に、そんな姉と比べられて親から冷遇されたとかはない。
姉も、両親も私を可愛がってくれた。
しかしいくら頑張っても姉には叶わないというのは、私のコンプレックスになった。
「……永遠の愛を誓いますか」
「はい」
真っ直ぐに前を見て、裕司さんが姉への永遠の愛を神に誓う。
もう、彼への未練を断ち切らなければいけないんだな。
私の大学入学を待って、姉と裕司さんは付き合いはじめた。
実の兄のように慕いながら、自分の気持ちは隠す。
裕司さんを忘れようと努力はしたが、他の男性は好きになれなかった。
そのまま大学を卒業し、社会人二年目の春。
姉と裕司さんはとうとう、結婚した。
披露宴も終わり、ひとりで会場になったホテルを出る。
両親は今日くらい実家に帰ってはどうかと誘ってくれたが、ひとりになりたかった。
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