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彼を説得する言葉を色々考えていたのだけれど・・・無駄になってしまったな。
だけど、それなら、それでいい。
わたしは唇をきゅっと結ぶと、立ち上がった。そして、コーヒー代をテーブルに置く。
「さよなら」
別れの言葉を告げると、わたしは彼に背を向けた。
「真菜・・・」
彼の声が後ろから聞こえる。
だけど、わたしは、振り返らずに、そのまま店を後にした。
店の扉を出る際、横目でちらりと浩樹を見る。
彼はテーブルの前で、うな垂れていた。
わたしが浩樹を見たのは、それが最後だった。
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