歩実

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歩実 14歳 「ただいま。」 「あら、今日は少し遅かったじゃない。何かあったの?」 「学校の友達にね、一緒にご飯食べに行こうって誘われたの。途中までは一緒にいたんだけど、お母さんが夜ご飯作ってくれてると思って、やっぱり帰ってきたの。」 「学校帰りの寄り道は、確か校則違反じゃない?」 「そうなんだけど、さ。でも皆やってるし。ねぇ、今度私も行ってもいい?事前に夜ご飯いらないって言うから。ね、お願いっ!」 「私も歩実が友達と仲良くするのは嬉しいわ。でもね、校則は歩実たちを守るためにあるのよ。もし、歩実に何かがあったらどうするの。」 「そんな、お母さん大袈裟だよ〜。」 「ただいま〜。2人で何の話をしてたんだ?」 「お父さん、おかえりなさい!お母さんがね、頭固いんだよ〜。」 「歩実が、学校帰りに友達とご飯に行きたいって。」 「それって確か、校則違反じゃなかったか?」 「え〜、お父さんもお母さん派なの〜…」 「別に、2人とも歩実に意地悪したいわけじゃないんだぞ?」 「そうよ。私たちは、歩実が心配なのよ。」 「心配してくれるのは嬉しいけど、私ももう大人だし…」 「俺たちにはな、歩実しかいないんだ。そんな大切な歩実が、先生に怒られるだけでも辛いのに、もし何かあったら、悲しいだけじゃ済まないんだ…」 「それは…」 「私たちは、歩実がいい子なのを知ってるわ。今日だって、友達のお誘いを断って、家族で夜ご飯を食べに帰ってきてくれた。それだけで、2人とも幸せなのよ。」 「お母さん…」 「3人でテーブルを囲めるのは、今だけの特別な時間なんだ。そんな幸せを、ルールを破ってまで、失くすことはないんじゃないか?」 「お父さん………そう、だよね。2人ともごめん!私、今はまだ我慢するね!」 「さすがは歩実だな。」 「本当に、こんなにいい子に育ってくれて、私たちは幸せよ。」 「も〜、そんな大袈裟だよ。ほら、冷めちゃう前に食べよ食べよ。」 〜数日後〜 「やっぱり、お父さんお母さんの言いつけ守ってて良かった!あの後、友達が先生に寄り道がバレて停学に…」
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