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歩実 17歳
「………」
「歩実、ただいまは?…って、どうしたの?何かぼーっとしちゃって。」
「お母さん…私、告白、されちゃった…」
「あら、同級生の子?」
「隣のクラス…」
「仲良くしてるの?」
「ううん。あんまし、喋ったことないけど…私に一目惚れしたんだって…」
「どんな子なの?」
「サッカー部で、結構カッコいい…って皆言ってる。」
「歩実は、その子のこと好きなの?」
「いや…好きとかは…よくわからないよ…」
「告白、返事したの?」
「まだだよ。こういうの初めてで…でも、相手は真剣だったし、断るのも申し訳なくて…だけど、どうすればいいかを相談する人もいなくて…」
「歩実。」
私は静かに抱きしめられた。
あたたかい。
人の温もりに触れて
動揺していた心が落ち着くのがわかる。
「歩実は、もう数ヶ月で18歳。成人になる大切な時期なの。これからの将来が、もうすぐ決まると言ってもいい。そんな大切な時間を、そんな中途半端な気持ちで、無駄に過ごしていいの?」
「無駄かどうかはわからないけど…」
「相手の子も、歩実のことをよく知らないんでしょ?それで告白してくるなんて、歩実のことを外見でしか見ていないんじゃないかしら。」
「それは…」
「ちゃんと中身を見て、しっかりと関係を築いていく。人と人の繋がりは、それが1番大切なんじゃないかしら。私たち3人のように。」
「そう…だよね。好きじゃない人と、無理に付き合う必要はないよね。」
「将来がかかっているなら尚更よ。そんなに焦らなくても大丈夫。小さい頃から言ってるじゃない。もしいい子にしていたら…」
「素敵なお城で可愛いドレスを着られる、でしょ?…もう、人がせっかく真面目に相談してるのに。でも、お母さんに相談してスッキリしたよ。ありがとう。明日、告白断ってくるね。」
「そう。良かったわ。」
「だって、今までお母さんたちの言うことを聞いて、間違ってたことなんてないもん。」
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