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そして
歩実 18歳
「「歩実、お誕生日おめでとう。」」
「2人ともありがとう!」
「歩実ももう18歳か。時間が経つのは早いなあ。」
「そうね。あんなに小さかった歩実が、こんなに可愛くていい子に育つなんて。」
「これも全部、お父さんとお母さんが大事に育ててくれたおかげだよ。本当に、本当にありがとう。」
2人の笑顔を見て、思わず涙が出そうになる。
こんなに愛してもらえるなんて
私は
誰よりも
幸せ者だ。
「じゃあ、早速行くか。」
「え?お父さん、行くって何処へ?」
「歩実、覚えてないの?小さい頃から言ってたじゃないの。今から立派なお城で、可愛いドレスを着られるわよ。」
「あれって、私を育てるための冗談だと…」
「私たちがそんな嘘を言うわけないじゃない。」
「ほら、お迎えの車も来たぞ。」
真っ黒な細長い車から
執事のような男性が降りてくる。
「久々津歩実様。どうぞお乗りください。」
扉を開けた先には
車の中とは思えないほどのソファや照明の数々。
恐る恐る乗り込む私に続いて
お父さんとお母さんも笑顔で乗り込む。
「では、出発いたします。」
見慣れた街並みが
車窓の外を流れていく。
本当に、行くんだ。
思わず、お母さんの手を握る。
そこに、お父さんが手を重ねてくる。
2人の笑顔は変わらない。
優しく
そして
あたたかく。
そうだ。
私にとって今日が
待ちに待った
特別な日なんだ。
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