再会

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「ああ!サッチン!お顔にゴミが! 」  私は慌ててサンドラ様からの視界を塞いで立ち、サッチンの顔をハンカチで拭いました。目に見えて震えています。羨望と嫉妬と敗北感でサッチンの心はとんでもない事になっていそうです。  ネネネに罪はありません。帰ってきたら知らないお姉さんが居て、人懐こい彼女はそのお姉さんに遊んでもらっているだけなのです。それはサッチンも分かっているのです。わかってはいても心穏やかにいられないのです。  ネネネは私達にとって大切な妹でサッチンも大好きな子です。だから彼女に対し怒りなど湧きません。それでもサッチンが14年も重ねてきた思いをひょいと飛び越えて憧れに人の膝に収まって頭を撫でられているだなんて、あまりに衝撃的な事案なのです。 「サッチン、しっかり……」  私はサッチンの顔をぬぐいながら小さな声でそう声を掛けました。  サッチンは心挫けた眼差しを私に向けるのです。アーニャ様は自分よりネネネが好きなんだと結論を出してしまっているかのようです。  駄目よサッチン、早まらないで。小さな子には誰だって好意的になるでしょう?サッチンのとっておきでサンドラ様の心をこちらに向かせましょう?ね?
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