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「おねーさん、これなーんだ」
「ん? そうだな、犬かな。羊を追っている所だろう」
「あたりー! 」
ネネネ! そこで何しているの? 事もあろうにサンドラ様のお膝の上で何しているの?!
「ネネネ! 失礼よ! 」
私の言葉にサンドラ様は振り返られ、良いんだと微笑まれました。良くありません!良くありませんサンドラ様!サッチンが、サッチンが……。
私達が席を外している間にネネネが帰って来ていたのです。そして罪のない無邪気さでサンドラ様に近づき、遊び相手になってもらっているのです。
今サッチンの目の前で、サンドラ様が誰であるかもわからないネネネがそのお膝に乗せてもらい、お絵かきをしているのです。
おかげでサッチン、声も出せなくなっています。とっておきとやらが出せなくなっています。
「ネネおえかきじょうず? 」
「ああ、なかなかだ」
屈託のない笑顔を向けるネネネの頭をサンドラ様の綺麗なお手が優しく撫でられます。
サッチン思わず声を上げました。
「こ ここはシャロワン領ですかっ」
サンドラ様は怪訝そうにおっしゃいます。
「レフレヴィー領だが」
途端にサッチン、とんでもない量の鼻水を出しました。目には涙を排出する穴があってそれが鼻に繋がっています。泣く訳に行かないサッチンはそれを最大稼働させたのでしょうか。いたたまれません。
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