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エピローグ 終わりの始まり
―――熱い、苦しい、苦しい……
燃えるような身体の熱さと息苦しさで意識を取り戻すと、頬に感じる地べたの感触で、どうやら自分がうつ伏せに倒れている事に気が付いた。
酷く重たい瞼をどうにか開くと地面は赤黒く染まり、散乱した瓦礫や燻っている炎が目に入る。
時間にして数秒ほどだろうか、状況が呑み込めずに思考停止していたが、思考がクリアになるにつれ直前の出来事を巻き戻すかのように思い出し、一気に焦燥感が駆け巡る。
(…そうだ、あいつらは、あいつはどうなって――)
慌てて上半身を起こそうとしたところでようやく背中の不自然な重さに気付き、確認しようと少し後ろに身体を逸らすと、
『―――――っ!?』
そんな声にもならない絶句が喉元を駆け上がり、頭が真っ白になる。
そこには、自分を庇うように覆い被さっている友の姿があった。
震える手で顔を確認するが、その瞳から光は失われており、ただただ虚空を見つめているだけの存在と化していた。下腹部から下は箇所によっては原型を留めないほどに深く抉られており、辺りは鮮血に染まっている。
「あのとき俺を庇って…何で…」
混乱する思考の中、彼の亡骸を強く抱きしめながら周囲に目を向ける。
よく見ると、そこかしこに腕や脚といった身体の一部だったものが目に飛び込んできた。
自分の近くに転がっている腕には、血に染まってはいるがよく見慣れた金色のブレスレットがついていた。
困惑、混乱、絶望……色んな感情が身体中を締め付け、それらが捌け口を探して目からしょっぱい液体となって溢れた。
堪らず血溜まりの中を見回しながら泣き叫ぶ。
「誰か…誰でも良い、聞こえてたら返事してくれ―――!」
しかし、その願いも空しく悲痛な叫び声が反響するだけだった。
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