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歯車。
~・~・~・~
3月の終わり、仕事の異動に伴い引っ越しをした。
内陸のコンクリートの地から海辺の街へと異動になった俺はその新しい環境に少し…ほんの少しだけ浮かれていた。
~・~・~
「搬入、終わりました~」
日当たりのいいベランダに出て海を眺めていた俺を現実世界に引き戻したのはその声だった。
その現実世界からの声に俺は『ありがとうございます』とお礼の言葉を返し、ベランダから2LDKの部屋へと戻って引っ越し業者のそのお兄さんから請求書を受け取った。
新しい土地で新しい生活がはじまる…。
そうすれば新しい出会いが訪れる…。
「…少し片付けたら買い物に行こ」
そんな意味もないことを呟いてみた。
それは頭に浮かんだ人物を忘れるために…。
忘れられるはずなんてないのに…。
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