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「何って…お仕事前に買い物してぶらぶら…だけど? …そちらは? なんか酒臭い感じ?」
そう言いながら俺に近づいて来るそいつは何が可笑しいのかわからないほどクスクスクスクスと笑っていた。
それに俺はどうしていいのかわからなかった。
8年前と何も変わっていないはずなのに…。
「…株式会社…へぇ? いいとこに勤めてんね? …白浜課長?」
俺のスーツのポケットからネームホルダーを引っ張り出し、それを見て笑うそいつの目を俺は見れなかった。
それはまるで蛇よりも怖い物の怪かのように…。
「…ナツ?」
そう声を掛けられ、心臓が飛び上がった。
それと同時に強烈な吐き気に襲われた俺はその場にしゃがみ込み、口元を手で押さえ、戸川を慌てさせた。
「あ~あ…飲み過ぎとかみっともない」
そう言って目の前に差し出された空のコンビニのビニール袋が可笑しそうにカサカサと笑っていた。
俺はそれをお礼もなく受け取り、その中に盛大にやらかした…。
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