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「白浜さんはもう見通しとか立ってるんですか?」
それは本当に唐突な問いだった。
そして、鈍い俺はおすすめされたトンカツ定食のトンカツを頬張りながら目の前の戸川 建吾にその言葉の意味を『うん?』と訊ねることしかできなかった。
「もっと上への見通しですよ。白浜さんの年齢で課長とかこの会社じゃ異例中の異例でしょ? だからその…次期社長…とか? ね?」
そう言って嫌味なくニヤリと笑んだ戸川に俺は目を丸くさせられ、トンカツを喉に詰まらせていた。
トンカツを喉に詰まらせた俺は慌てて水を飲み込み、それを水で押し流し、激しく咳き込んだ。
そんな俺を戸川は心配することなくニヤニヤしながら見ていたのだがそれに嫌な印象を受けることはなかった。
俺はそれが戸川の強みなのかもと思うと同時に本当にそう思っているのでは? と感じさせられた。
だから嫌な印象を受けないのかも…と…。
戸川は今朝の朝礼後から俺のそばに付いて色々と世話を焼いてくれている。
部長の渡部さんからもわからないことがあれば戸川に聞けばいいと言われた。
そんな戸川の齢は俺の一つ下の25でその第二の性はβらしい。
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