歯車。

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~・~・~・~ 異動から早2週間…。 職場の雰囲気にも仕事にも慣れてきた頃、俺の歓迎会が行われた。 それは賑やかなわいわいとした感じのいい歓迎会だった。 気分よく過ごせていた。 しかし、たったの一言で俺の気分は崩された…。 『白浜課長ってαなんですよね?』 たった、それだけの言葉…。 たった、それだけの言葉なのに俺は…。 「うん…。そう…」 たぶん…きっと…そう…。 『凄いですねー! エリートだー!』 αだからみんな凄いとかαだからみんな優秀でエリートになれるとか思わないで欲しい…。 αの中にだってどうしようもないポンコツが居ることを頭の隅にでも置いておいて欲しい。 そう…例えば俺とか…。 『白浜課長ってまだ…』 「俺に番なんて居ないよ。番を得たいとも思わないから…」 俺はそう言ってその場を白けさせ、歓迎会をお開きにさせ、二次会もなしにさせた。 俺のその行いを責める者は誰も居なかった。 それくらい俺がその場を白けさせたってことだ。 だけれど本当のことだ。 俺に番は居ない。 番を得たいとも思わない。 けれど…そうだな…もし…叶うのならば…。
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