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「間宮さん、この時期ってボーッとしてるよね」
みんなで一緒の帰り道、隣に並んで歩く高見さんがそう言う。
「え?私、仕事中もそんな風に見られてました?」
私は焦った。
仕事でも、そんな風な態度になっていたのかしら。
「あ、違うよ。仕事はちゃんとしてる。頑張り過ぎだと思うほどにね」
それを聞いて私はホッとした。
私が自分を保てるのは、今は仕事だけだから。
「花見の時、いつも、その、辛そうにしてるから、花粉症酷いのかなって」
「あー。いえ、花粉症では」
毎年、余計な気を使わせてたんだ。
「そっか」
高見さんはそれ以上は聞いてこなかった。
「すみません。気を遣わせてしまって」
「ううん。全然。可愛い後輩の心配をしただけ」
本当に良い人だ。
でもそれ、ある意味罪ですよ。
やっぱり人タラシです。
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