1.人気のクラスメイト

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直後にバタバタと廊下が騒がしくなる。 微かに聞こえてくる「御堂くーん」と彼を呼ぶ甘ったるい声。確実に御堂くんを探している。 「あ、あの、誰か呼んでるんじゃないかな?」 恐る恐る尋ねてみるけれど、御堂くんは不機嫌そうにムスッとしたまま。「ここって他に誰か来るのか?」とぶっきらぼうに言った。 「……たぶん来ないと思うけど。いつも私だけなので」 「よし、なら俺を匿え。しばらくここで隠れるから」 「えっ? ええっ?」 「絶対にバラすなよ」 凄みをきかせた声色は首を縦に振ることしかできなくて、私は内心びびりまくる。だって、だって、匿うって一体どうしたら……。 御堂くんは作業台の物陰に隠れるように座り、存在を消すかのように背を預けて目を閉じた。 出入口からは見えない位置だけど、私からはバッチリ見える。 伏せられた目は長い睫毛に縁取られ、鼻筋はすっと通っている。赤みがかったダークブラウンの髪は地毛なのか染めているのかわからないけれど、サラサラしていて艶があってとても綺麗だ。思わず触りたくなってしまいそうなほど。 御堂くん、口は悪いけど本当に整った容姿をしていて、人気があるのも頷ける。そのへんの芸能人よりかっこいいんじゃないだろうか。 教室の外では相変わらず御堂くんを呼ぶ声。 ずっと捜されているっぽいけど、いいのかな? ――『絶対にバラすなよ』 先ほどの言葉が頭の中を反芻した。
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