1.人気のクラスメイト

5/9
前へ
/75ページ
次へ
御堂くんは大人気だし取り巻きとか親衛隊とかいるから、私はいつも遠くで見ているだけだけど。 でも今年も同じクラスになれてとても嬉しかったんだ。 「お前美術部なの?」 「あ、うん」 「一人?」 「うん。入ったときは三年生の先輩がいたけど、卒業しちゃってからは私一人なの」 一年生の時はね、三年生の先輩が五人も所属していたんだ。新入部員は私だけで。二年になって部活紹介も頑張ってしたけど、結局誰も入らなかったんだよね。 「ちょっと待て。お前二年なのか?」 「そうだけど」 「俺と一緒かよ」 御堂くんの言葉に私は目を丸くする。 だって、だって……。 「えっと、一緒だし、……去年も今年も同じクラスなんですけど」 「へえ、そりゃ気付かなかったな」 ガーンという効果音はこういう時に使うんだと思う。 頭の片隅に残る綺麗な思い出が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちていった。 それはもう、見事なまでに。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

544人が本棚に入れています
本棚に追加