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「けど、星宮のそういう抜けてるところ……私は好きよ」
「……へ? に、にゃに……んんっ、何言ってんだよ」
唐突だったからか星宮は噛みまくっていたが、それを笑う余裕は私には無かった。
「……なんてね」
舌をちろりと出してそう誤魔化してみたけれど、私の鼓動は痛いくらいに響いていて、平静を装えているかすら怪しかった。
※ ※ ※
その晩、私は布団に篭り一人悶えていた。オークアップルデーを起源に英国では午前中のみ嘘をつけるルールが現存しており、父から聞いた私はそれを逆手にとって告白紛いのことをしてしまったわけだけど。
「さ、流石に気づいてないわよね」
あの星宮のことだ。わざわざ調べるなんてことはせずそのままにしているに違いない。というより忘れている可能性の方が高いだろう。きっとそうだ。そう自身に暗示をかけると私は微睡に落ちていった。
事の顛末は語るまでもない。ただ、敢えて言うなら、私が思うより彼は朴念仁だったってことだ。
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