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ふと時計を見ると、奏和がいつも迎えにくる時刻を過ぎていた。
「いい加減、遅刻するけど。寝坊かな」
普段は自分から奏和を迎えに行ったりはしないけれど、心配になって家を訪ねた。
すると、奏和のお母さんが出てきて、驚いた顔をして言った。
「だいぶ前に出たんだけど、凪葵くんの家に行ってない?」
どうしたんだろう。迎えに来るのを忘れるなんて。今までそんなことなかったのに。
俺は仕方がなく一人で学校に行く。
ぎりぎりだったけど、何とか遅刻しないで着くことができた。
教室に向かう途中、奏和の姿を見かけた。
俺の方を見たから声をかけようとしたら、ふっと視線を逸らされた。
気づかなかったのかな。
だけど、気のせいではなかった。俺は奏和に避けられているようだ。
昼になっても、帰りになっても、奏和は教室に来なかった。
どうして? 俺なんかした?
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