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俺は、奏和の教室に向かった。数人のクラスメートと楽しそうに笑って話している。
だけど、俺の姿を確認した途端、表情から笑みが消えた。
辛そうな顔をしながら、俺の方へ来てくれる。
「今日は一緒に帰れない。あいつらとカラオケ行くから」
「そっか」
「明日の朝も迎えに行けない。昼も一緒に食べない。これからは俺がいなくてもいいだろ?」
奏和の言っていることがよくわからなかった。
友だちがたくさんいても、最終的には俺の傍にいてくれた。
一番に俺のことを考えてくれてたのに。
急にそんなこと言われても困る。
俺は無意識のうちに奏和の手首を掴んでいた。そして、引き寄せて――。
「やめろよ!」
奏和の怒鳴り声に、驚いたのは俺だけじゃなく、クラスメートも何ごとかとざわついた。
「ほっといてくれ」
奏和が俺から離れて行ってしまう。
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