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付き合うといっても、今までと何ら変わりない。
学校へ一緒に行って、昼を共にし、放課後は二人で帰る。
帰宅後は、どちらかの家で漫画読んだり、ゲームしたり、くだらない話で盛り上がった。
少し違うのは、どちらからともなく、軽く唇を重ねる。触れるだけの優しいキス。
「前と違う? 気持ちいい?」
凪葵はうっすら笑って言う。
「どうだろうな。わっかんねー」
本当は、前よりもずっと胸の鼓動が激しくなっていた。
それを知られたくなくて凪葵から顔を逸らし、冷静に見せる。
付き合ってからというものの、四六時中、俺は凪葵のことばかり考えていた。
離れていると不安になるくらいだ。
あいつが特別だと、徐々に自分の中で凪葵の存在が大きくなっている。
それは、幼馴染で親友という域を超えていた。
凪葵はどう感じているのだろうか。
俺と唇を重ねるのもただ試しているようで、何も感じていないのはわかっていた。だから余計に苦しくて辛くなる。
きっと俺はもう、凪葵のことを手放したくない。
今更、ただの幼馴染の親友になんか戻れるはずないだろう。
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