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非常階段のところで、凪葵が女子と話をしているようだ。
盗み見するのは趣味が悪いがどうしても気になった。
声はするけど内容までは聞こえない。
もう少し傍に行こうとしたら、二人は顔を近づけ、キスをしたのが見えた。
はっと息を呑んだ俺は、その場を去ろうとして、慌てていたせいで持っていた鞄を落としてしまう。
その物音に気付いてこちらを振り返った二人と視線が交差した。
俺の姿を確認した女子は、恥ずかしそうに顔を俯かせる。
「帰るね、凪葵くん」
そう言い残し、駆け足でその場を後にした。
「奏和、迎えに来てくれたの?」
凪葵は何事もなかったように話しかけてきたから、何も見なかったかのように俺も感情を抑えて答えた。
「教室にいなかったからさ。アニメの配信見るんだろ?」
「うん。ピザも注文しようね」
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