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ー新しい世界ー
「…!!」
僕は突然目が覚めた。
おかしいな、目が覚めることなんてあるはず無いのに。
もしかして、ここは、死後の世界だろうか。
だとすれば、どこかに姉さんがいるはずだ。
「姉さん…どこにい………あれ」
僕はふと、隣に視線をずらすと見慣れた顔の誰かが倒れていた。
これは、…この感じは、もしかしなくても、姉さんだ。
どうして、姉さんがこんなところに、しかも倒れてるんだ。
僕は、姉さんの胸に耳を寄せて心臓が動いているか確認した。
心臓は確かに動いていた
「…えぇ…、どういう…こ、こと?」
なんで、姉さんが生きてるんだ、なんで僕が生きてるんだ。
そして、ここは、本当に死後の世界なのか?
もしかしたら、僕達は、死んでなかったってこともありえる。
いや、あり得るはず無い。
断言出来る、僕達は、確かに死んだのだ。
そう考えただけでますます訳が分からなくなってきた。
「…っていうか、姉さんってこんな格好してたかな」
この人、鎧なんて着てるし、ここどこの時代なんだよ。
いや、姉さんだったら、なんでそうなったの?
そういえば、僕もおかしな服装をしているな。
「……ハッ、もしや…これ…」
「……僕達、異世界に来ちゃった…?」
いざ、自分で言葉にしてもやっぱり、おかしい。
死んだ人間が、異世界に行くことが出来るのだろうか?
アニメとかでしか、聞いたこと無いし、見たこともない。
でも、仮にそうだとしたら、何をすべきなのだろう。
そ、そうだ、まずは姉さんを起こさなきゃ。
「……」
僕は、姉さんの体を揺さぶった。
姉さんは、少し唸ってから、目を開けた。
「……渚…?」
「…そ、そうだよ…」
姉さんは、僕を確認するなり、突然抱きついてきた。
「渚!!良かった…!無事だったんだね!!」
「うわっ!?」
危うく体勢を崩そうになるも、なんとか耐えた。
そりゃ、そうなるよね…。
「…無事だったのかは…分からないけど…姉さんが生きてるなら良かったよ……」
僕は、あははと苦笑した。
僕の言葉に?を浮かべる姉さん。
「…どういうこと?」
「それが、僕にも詳しくは分からないんだけど…」
「……あのさ、…信じてくれるかは、分からないけどさ…」
「うん?」
姉さんは、よく分からないと言わんばかりの顔をしていた。
「…異世界に来ちゃったみたい……」
「……異世界に…来た?」
姉さんは、僕の言葉を聞いた途端目を輝かせた。
「それって、凄い事じゃん!!」
「…そ、そうなんだけどさ…」
「死んだ人間が異世界に来るなんて…アニメじゃあるまいし…」
「でも、生きてるんだからいいでしょ?」
姉さんの言葉にそれはそうだと、言葉を詰まらせた。
流石としか言いようがないほど、図星。
「ねぇねぇ、そんなことより、渚の服装カッコいいね!」
「…えっ、あ、…ありがとう…」
「姉さんの服装はカッコいいけど、なんだか露出が多いね…」
立ち上がってお互いの姿を確認した。
「…あ、あのさ…姉さんは、ともかく、僕ってこんなに胸大きかったかな?」
「…んー、違うと思う」
「違うんだ…」
ストレートに言われてショックを受ける僕。
確かに僕は、男子なのかってくらい胸は無かったけどさ。
「見てみて!剣だよ!凄くカッコいいよね!」
「おぉ…本当だ!」
僕は、姉さんの持っている剣を見てカッコいいと思ってしまった。
ネトゲのやり過ぎかな。
「僕のもカッコいいなぁ…」
「強そうだね!」
異世界に来て凄くはしゃぐ僕達。
さて、これからどうすれば良いのだろうか。
現世に戻ることは不可能だろうし、だからといって、ここで何をすれば良いのかが分からないし。
「異世界って事は、モンスターとかいるのかな?」
「あー、どうなんだろう」
「そうとなれば、早速出発!」
姉さんは、僕の手を引っ張って目の前にある森へと向かった。
これ、大丈夫なのだろうか。死なないよね?
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