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ー不気味な森ー
森に入ると、明らかにさっきの場所と雰囲気が違うことに気付いた。
見たとこの無い果物や、植物、動物がいて何だか少し楽しかった。
この森を抜けたらもっと凄いものが見れるのだろうか。
そう考えただけでワクワクしてきた。
「渚!見てみて!この果物美味しそう!どんな味がするのかな!」
姉さんの声がして視線をそちらに向けると、変な果物を持っている姉さんがいた。
「…え、まさか…それ…食べる気じゃ…?」
「美味しそうだよ?食べれるんじゃないかな」
「……えー…」
「渚が食べないなら、私が食べる!」
と言って、姉さんは、僕の忠告も聞かずに手に持っていた果物を一口かじった。
モグモグと口を動かす度、姉さんの表情が変わって心配だった。
これ、食べても大丈夫なのだろうか。
「……」
「どう?」
「…美味しかった!!」
と、予想を遥かに越える言葉が聞こえた。
美味しかった…?
「渚も食べてみなよ」
「……う、わ、分かった」
目の前に果物を差し出されて断ることが出来なかった。
果物を受け取って、思いきって一口かじった。
噛むと、なんだか不思議な味がして面白かった。
味は、一言で言うと美味しかった。
果物だからやっぱり、甘かったな。
「美味しい…」
「でしょ!」
姉さんと味覚の感じ方まで同じなのか?
いや、単にこの果物が美味しいだけか。
ー数分後
果物を食べ終えて、森を少し進むと見たことの無い生物がいた。
僕と姉さんは、木の影に隠れて様子を伺った。
「これじゃあ、森を抜けれないよ」
「…う~ん…」
僕は、少し考えてからハッとした。
そうだ、この剣を使えば倒せるんじゃないか?
「ね、ねぇ、この剣を使えば…」
「…その発想は無かった」
姉さんは、ちらりと、その生物を見て剣を構えて走り出した。
これが失敗すれば、どうなるのかなんて考えたくも無いけど。
今はとにかく、この生物を倒すことだけ考えよう。
僕は、それに遅れないように剣を持って走り出した。
「えいっ!」
姉さんは、ソイツを剣で切り刻んだ。
え、姉さんってそういう素質持ってたの?
僕は思わず、二度見した。
「ほら、渚も!」
「あ、う、うん!」
呆気に取られていて忘れていた、仮にも僕も剣を持っている。
つまり、することは1つ。
僕はソイツに1発お見舞いしてやった。
たまに反撃して爪を振りかざしてくるけど、僕と姉さんは、それを軽々と避け、ついには、数分で倒してしまった。
「ふぅ…討伐完了!」
「やったね!」
僕と姉さんは、軽くハイタッチをして倒れているソイツを見た。
これ、下手したら食べれるんじゃ…?
いやいや、そんな訳無い。
「じゃ、進もうか」
「だね」
僕達は、横を通って、森を進んだ。
時々出てくる敵を斬り倒して進んだ。
たまに、強い敵が出てきたが、それも何とか、2人で倒すことが出来た。
そして、ついに…
「やっと森を抜けられた!」
「長かったね…」
かなり体力を消耗してしまったらしく、さっき果物を食べたはずなのに、お腹が空いてしまった。
とりあえず、食べるものを探そう。
森を少し抜けた先には、広い平原が続いていたが、しばらくは闘うことは無さそうだ。
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