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エレナ村2
(村長の話が続きます。)
「……どうして、そのルミネって人は、コアを破壊したの?」
「それは……ルミネ様が、何者かによって操られているからです」
「…操られているって…つまり、黒幕がいるってこと?」
「はい…」
村長は、辛い表情をしながらも教えてくれた。
「…クロエ様には、コアを修復する能力があります…」
「しかし、現在クロエ様は、行方不明…」
「ルミネ様の支配によって、都市は不満だらけな場所になってしまったのです。」
「歯向かう者は処刑され、ルールを守らない者は追放され…」
ルミネって奴はそんなに最低なやつなんだと思った。
でも、僕らだけじゃ…止めることなんて…。
「明日には、都市に向かうつもりなのですが、その時に様子を伺ってみます」
「私達が知っていることは、これだけです…」
話を終えると、首に掛かっているネックレスを握りしめた。
恐らく、村長にも何かあったのだろう。
「……今日は、遅いですし、ゆっくり休んでください」
村長は、顔を上げて言った。
「ありがとうございます、ではお休みなさい」
姉さんと僕は、村の人に案内されて宿へと向かった。
この村は、意外と人が多かった。
もしかしたら、都市から逃げてきたのかもしれない。
いや、考え過ぎなだけ…か。
僕は、案内してもらった部屋に入り、ベッドに座った。
隣に、姉さんが座ってきた。
「なんだか、大変な事になってるね…」
「そうだね…、これから…都市に行って…どうするつもりなの?」
「……コアを修復すれば…村の人達は…都市の皆は…幸せになれるんだよね?」
「…そ、そうだけど…」
確かに、姉さんの言う通り、村の人以前に、この世界の危機が迫っているのだ。
当然、僕らがすることは、決まっているだろう。
だけど、そんなことをすれば、生きて帰れるのかすら分からない。
せっかく異世界に来たんだと思えば…やっぱり、異常は付き物だ。
勿論、姉さんも僕も死ぬ気は全く無い。
この世界に来て、1日が経とうとしている。
今、都市では…何が起こっているんだろうか。
僕らだけじゃ止めることが出来ない何かが、そこにいるのだ。
「…目的は、コアの修復」
「命が惜しかろうが私には、関係無い。」
「それは、渚だって同じだよね?」
「………そ、それは…」
初めて会った、誰かも分からない村の人達をどうしてそこまで、信用出来るのだろうか。
やっぱり、姉さんは…好い人過ぎるんだよ…。
だからこそ、僕が姉さんを支えなきゃ…いつか姉さんが僕から離れてしまうときまで…。
「…分かった、そこまで言うなら、ハッキリ言って、訓練とか沢山必要だし、長い旅になるけど…いいんだよね?」
「うん、そのつもりだよ」
「分かった…僕も…保証は出来ないけど、必ず姉さんの事を守るから」
「妹に助けられるくらい弱くなんて無いよ」
と、姉さんは笑った。
今夜は、月がとても綺麗だった。
僕は、姉さんに一言「おやすみ」と伝えて眠りについた。
その日、僕は変な夢を見てしまった。
姉さんが僕から離れていく…そんな夢。
あり得ないけど、あり得るのかもしれない。
僕が、現実から目を背けてるだけで、とっくに現実世界の僕らは、死んでいるんだろう。
手を伸ばしても姉さんには、届かなかった。
今も、そんな状態…、姉さんの言うことに合わせて、それっきり。
ずっと思ってたけど、姉さんの考えが時々分からなくなるんだ。
でも、今は…ひたすら追いかけて…。
必ず、姉さんの考えを理解出来るような…人になりたい。
それだけを考えて…それだけを思って…。
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