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ー出会いー
「そうだ、貴女達、名前は?」
「私は、アオイ」
「それで、こっちが、ナギサ」
僕は、軽く会釈をした。
この人は一体何をしていたんだろうか。
「二人は…何をしてたの?」
「…私たちは、カルライナ街へ用事があって、エレナ村から来たんです。」
その言葉を聞いて、アイリスは、驚いた顔をした。
「エレナ村って…立ち入る事が禁じられてる…あの村?」
「…立ち入る事が禁じられてるって…?」
「それって、どういう事?」
姉さんは、不思議そうにアイリスに聞いた。
アイリスは、少し苦笑しながら…
「私にも理由は、分からないけど、入っちゃダメだって言われてるんだよね」
「別にそこに、何かがあるわけじゃないのに」
と、答えた。
つまり、エレナ村にはやはり何かあったのだろうか。
僕らには、教えることの出来ない…何かが。
「あ、そうだカルライナは初めてだよね!案内するよ」
アイリスは、笑顔で言った。
僕は姉さんを見た。
姉さんは、僕をちらりと見てから、
「じゃあ、お願いしてもいいですか」
「うん!」
僕らはアイリスに街を案内してもらえることになった。
一体何があるのか、別に知りたいとは思わないが。
そして、彼女についていくと街が見えた。
「ここから街に入れるんだ、面倒だけどここしかなくてさ」
「洞窟の隣に森があったけど…あそこからは行けないんですか」
「あー、あの森は凄く危険だからダメって言われた」
「でも、一応あそこからは入れるはずだよ」
僕は、少し森のことが気になったが、それは後回しにした。
それよりもまずは、この街の事を知らなければ。
「それに、ここに旅人が来るなんて珍しいし!」
「エレナ村でも言われました…ここも何年も旅人が来なかったんですか」
「そうだよ、何年も前から来てない」
アイリスは、街の入り口へと歩きながら言った。
入り口が近づくに連れて、周りの景色が変わってきた。
「なんだか、賑やかで素敵な街ですね…!」
「でしょ!自慢の街なんだぁ!」
「あの、どうして何年も前から来てないんですか?」
僕はなんだか気になってしょうがなかった。
アイリスは立ち止まって僕の方をじっと見た。
これは、聞いてはいけない事だったのだろうか。
「…う~ん…お父さんがそう言ってただけだし…」
「本当は、意外と普通に来てるかもね」
アイリスはそう言ってまた歩き出した。
僕は姉さんとアイリスに遅れを取らないように歩いた。
『町の人は何か知ってるかもしれない』
僕はアイリスの言葉を聞いてそう思った。
そうとなれば、この町で沢山情報を得なければ。
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