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カルライナ街
「どう!?これが私の自慢の街だよ!」
アイリスは街についた途端、両手を大きく広げて僕たちに言った。
彼女は、相当この街が大好きなんだと分かった。
姉さんはそれを見て『ふふっ』と笑っていた。
「アイリスはこの街が大好きなんですね」
「うん!大好きだよ!」
アイリスは嬉しそうに姉さんの言葉に返答した。
「そうだ、せっかく来たんだから、私のお店も来てよ」
アイリスは、そう言って姉さんの腕を掴んで走り出した。
僕は少しだけ溜め息をついて後を追った。
街の中心に入るとお店や人で賑わっていた。
そんな所にアイリスのお店が一件建っていた。
どうやら、彼女のお店は『花屋』らしく、しかも結構人気。
「わぁ、見て見て、渚!このお花すっごく綺麗だよ!」
姉さんはお店に入るなり一輪の花を手に取って僕に見せた。
確かにその花は僕たちのいた世界には無い不思議な色の花だ。
「その花、私の名前と同じアイリスって言うの」
アイリスは姉さんの持っている花を見て嬉しそうに言った。
姉さんはそれを聞いて不思議そうに花を見つめた。
「…じゃあ、アイリスはこの花から取った名前なんですね」
「そうなのかなぁ…」
アイリスは少しだけ悲しそうな顔をした。
姉さんはそれを見て心配そうな顔をした。
「…もしかして、アイリスのお父さんって…」
「……うん、私の両親はもう私が生まれる前に死んじゃって」
「だから、私の名前の由来も全部知らないの」
「でも、葵の言う通り、この花が由来なのかなって思った」
アイリスは花を見つめてそう言った。
「ごめんなさい、そういうつもりで聞いた訳じゃ無いんです」
「ううん、気にしないで、平気だから」
姉さんは申し訳なさそうな顔をした。
アイリスは苦笑した。
「でも、1人で花屋だなんて凄いね」
僕はこの空気を紛らわす為に彼女を誉めた。
彼女はそれを聞いて恥ずかしそうに笑った。
「ほんと?…ありがとう、そう言ってくれると嬉しいな」
「えぇ、1人だと大変でしょう?」
「うん、まぁ、大変だけど楽しいよ!」
アイリスはニコニコしながら答えた。
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