Ⅵ.君を想う(R18)

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 そうして辺りにたくさんの記号や線を書いて満足した頃には月も山の向こうへ行ってしまった。空の星々だけがキラキラと輝いて、森の中よりも明るいように見える。  レギオンがいれば魔法で周囲を照らしてくれるが、今は己ひとり。灯りがほしければ、ランプというものに火打ち石で着火しなければいけない。  はるか昔に双子で産まれた己は、後にも先にも一人だけの、魔法が一切使えない存在だ。  真っ暗に見える森の中でも、ずっといれば足元ぐらいは見えてくる。住処に戻り、柱に触れる。中は外よりも一段と暗い。ざらりとした壁を伝いながら寝床までたどりついて、乗り上がる。  今日はとても部屋がひろい。  昔はもっと広く感じていた。 「…………」  部屋の隅には、己の血が付いた折れた短剣が仕舞ってある。  もう一度寝台から降りて、手探りでそれを探して取り出した。裸の刀身はすっかり錆びついて刃毀れも非道い。  それを布で包んで、寝転びながら両腕に抱き寄せる。  子供姿のレギオンのような体温も息遣いも無いそれを抱きしめて目を瞑る。 『言ってくれ。気持ちいい、って』  思い出す彼の声に身体を丸め、膝をすり合わせる。 『ココを、ヌルヌルで、グチャグチャにする』  ――気持ちいいとは違うのに、それがキモチイイだと言い聞かせるレギオンを思い出す。  レギオンはあれがきっとキモチイイのだろう。だが、そうだとしてどうして(おれ)の尻に膏を塗って、そこに男の象徴を入れたのか。  体を丸め、錆びた剣を包んだ抱きまくらに頭を擦り付けて考える。暫くたって、ゆっくりと顔を上げた。  そうか。  レギオンは(おれ)の尻の孔をヌルヌルにして、そこで自分の男の部分をグチャグチャにするのが「キモチイイ」のだ、きっと。  自分なりの答えにたどり着いたは良いものの、今度は別の疑問が浮かび上がった。  ――あんなに大きな物をどうやって尻の孔にいれるんだろう…?
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