Ⅳ.五人の生贄(R18,R18G)

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 百年以上二人で過ごしてきて初めて敵ではない人間と過ごした一夜。それが過ぎ去り、残されたレギオンが石造りの住処へと戻る。  透明な日差しが差し込む寝室で頭巾を外したレギオンの姿は、明らかに老いていた。昨日は二十代半ばほどだったのが、今日は五十に差し掛かっているような頬の肉のやせ方と目元の鋭さをしている。  髪が一晩で白髪に、などという伝説じみた変化こそ無いが、明らかに時間の流れを無視した己の外見の変化はあの二人に見せたくなかった。 「……愛してる」  寝台に身を沈めた主へささやきながら、肌を覆っていた布団を剥がしてその体を顕にする。死ぬことも老いることもないが、呪いを受け続ける身体は今日も傷ひとつ無く、ただぐったりと疲労の色を濃く浮かべていた。 「俺の全てを、アンタにやるよ…だから」
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