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『それから……交尾、したい。アンタと』
足の間に身体を入れ込む。
不思議そうに主が目を細めて獣を見ている。夕食までの時とは違う、今、彼の目に写っているのは黒髪赤眼の獣だけだ。
『愛している、から……交尾したい』
しなやかな手がレギオンの頬を撫でた。
一瞬呼吸を忘れるほどに、レギオンを見上げる主の顔は痛みと熱の名残で艶めき、其れを感じさせない穏やかな瞳に射抜かれた。
『いい、ですよ。レギオンの……したいことを…して』
それは、獣が求める愛の形にはほど遠い。無知故に、無欲故に、レギオンの主は牙も爪も受入れてしまう。それが何かを知らなくても、理解できなくても、獣に必要なことであることだけは理解してしまうから。
呼吸は段々と穏やかに落ち着いて、繋いだ手の体温も馴染み合う。
『……アイツらと、違う事だから。信じてくれ』
レギオンは苦しさに泣き出しそうな衝動を必死で抑え込みながら絞り出すように告げ、主の薄い肋から腹を撫でていく。擽ったいと笑う、そこにやはり性感の熱は見受けられない。
『貴方になら』
なめらかな朽葉色の太腿のつけ根を撫でて、会陰をなぞり指先を更にその下へ。
『食べられていい』
――本当だろうかと、獣の胸には喜びよりも先に疑いが首をもたげる。黒い衝動が項を焼き尽くすかのように燃える。
『それも、他のやつには…言うな』
言わないでくれ、どうか。そう願いながら主の尻の窄まりに指先を添える。
『ここに、挿れたい』
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