Ⅳ.五人の生贄(R18,R18G)

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 指にまとわせた(あぶら)を塗り込みながら、挿れては抜きまとめていた指を少しずつ開いて閉じた後孔をゆるめ、性器の包皮をむき出しにさせて先端の粘膜を撫でた。 『んあっ……!く……レギオン、そこは…(おれ)、好きじゃない』 『そこ?』  首をもたげる嗜虐心から、嫌がる亀頭をぬるつく手でなで回し続ける。神経の集まっている亀頭から雁首の段差を攻められる快楽は、初めての経験には刺激が強すぎただろうか。後孔に潜り込ませた指もきゅうっと強く締め付けられてしまった。  しかし赤く充血して張り詰めた性器の先端から透明な蜜を滲ませ始めたのを手の滑る感覚で知る。後ろをほぐす指は無理に動かさずに、先端ではなくて竿を緩やかにしごいてやるとホッとしたように身体が弛緩した。 『あ……はっ――ふっ』  強すぎる快感の後で与えられる緩い快感がちょうど良かったのだろうか、唇を震わせながら漏らす吐息がそれまでと変わる。  窓の隙間から差し込む光に、白銀の髪がきらきらと輝き汗ばんだ褐色の肌がもがき踊る。胸の傷からじくじくと滲み続ける腥い鉄錆に似た血の匂いすらどこか甘く(けだもの)に錯覚させる。 『くすぐったい……んっ、ひぅ』  これだけ与えてもまだこれが快楽だと解らない、哀れな主。(おとこ)は無意識のうちに口角が上がり笑っていた。 『気持ちいい、だ』 『違う……だって…』 『ああ』 『こんなの……気持ちいいじゃ……ありません――んぁ、はっ』  主が知っている、水浴びや風を感じたり、獣に抱きしめられて感じる穏やかな「気持ちいい」と快楽の神経をこじ開けられていく「気持ちいい」は別物だ。
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