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知ればいい。それが痛みよりもたちの悪い膿んだ傷になるのだと。其れを与えたのが誰なのかを、忘れさせたりしない。
再び肉孔をほぐす指をゆるゆると揺らし、もう一本、そっと足して慎重に飲み込ませていく。
『交尾の気持ち良い、嫌か』
――もしここで嫌だと言われたら、俺は踏みとどまれるのか。
自問するレギオンの赤い瞳を紫水晶の瞳が見上げ、首を横に振った。
『わからないけど、嫌では……ない、です。レギオン』
「ッ――……!」
その返答と、景色に獣の中で何かがぶつりと千切れた。汚れた手を拭うことも忘れて着衣を捨てる。既にペニスは充血して反り返り、着衣から出した途端ぶるんと揺れた。
『レ、ギ……オン?』
朽葉色のなだらかな胸に、乳暈から膨らんで飛び出した肉粒に喰らいつきたい。喰らいつきながら、一息に犯したい。
「は…………」
正しく獣の衝動だ。息を吐いてそんなものを逃して、固く昂ぶった己の雄楔を、主の性器の裏に重ねる。
『子供の時は、もっと……小さいのに』
『……怖いか』
ぬるつく性器をすり合わせ、会陰を辿り菊座に切先を当てると主は身体を強張らせた。
『怖い、です』
主の言葉に獣が顔を上げると、褐色の肌をした手がそっと浅黒い額を撫でた。
『そう、か……』
自分が越えようとしている一線は、あの侵略者達と同じ線だと今更思い知らされる。頭の芯がキィンと冷えるのに、レギオンの性器は固く熱いまま。
きつく眉根を寄せて険しい顔をしていると、その眉間のシワを伸ばすように親指で額を捏ねられた。
『貴方がずっと、苦しそうな顔をしているのが、己はこわい』
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