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『くち、ひらけ』
間近で覗き込んだ紫水晶の瞳が涙で潤んでいる。赤みのさした柔らかな唇を舌で割り込み、呼吸の合間を縫って粘膜をねぶった。
二人の息遣いと舌が唾液を混ぜ合う音が響く中で、獣の雄楔が括れた隘路に行き当たった。
まだ獣の楔は収まり切っていない。
『んっ……ぅ……』
腹の中の違和感に主は苦しそうで、呼吸も浅く下腹がひくついている。太腿を撫でると驚いたようにビクリと体が跳ねた。
『ありがとう。――愛している』
これ以上、自分の欲のために主を傷つける自分自身を許せずに、レギオンはまたゆっくりと腰を引いた。ずるずると肉襞を雁首で擦りながら雄楔を引き抜き、主の腹の上に擦りつけて腰を揺らす。
「は……んっ、く……ふ」
『レギオン……?』
レギオンの不完全燃焼に気付いていない訳では無いが、作法を知らない主はただ、自分よりも大きな身体にしがみつき揺さぶられた。
獣としてのレギオンは壊れそうな唯一の人へ体重をかけて、己の存在を受け止められている実感を求めたのかもしれない。
『ふ、んっ……んぁ…』
腹の間でぐちぐちと性器が擦れて、ぞわぞわっと背筋を震わせる主の姿を見下ろして今は満足する。
「く――あっ」
骨盤の底から込み上げる衝動にくっと尻に力が籠もる。陰嚢がせり上がり、精が込み上げる全長に肉竿がどくどくと脈打った。
「ッ――――は……ぁ……」
びゅぐっ びゅるるるっ と粘ついた精液を獣が吐き出すと同時に、白銀の青年も自らの腹の上に精を吐く。
『ン――っは………あっ……』
重なり合う汗ばんだ肌の間で、混ざりあった体液が溢れ出し脇腹を伝い落ちた。
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