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最後に子供五人が呼ばれる頃には、砦の中にはろくに兵士も残っていなかった。
そして連れて行かれた血の跡だらけの部屋で、杯に入った血と、生の肉が載った皿を出された。
「食べろ。残さず食べたらここから出してやる」
「……ほんとう?」
砦の生活で痩せ細った一番年下の孤児が訊ねた。
「きっと魔物の血と肉だ。俺…聞いたことある」
「まもの?」
一人の子供の発言で子供たちがざわめき出す。そんな中で最年長の彼が杯の中の血を一息に飲み干した。
「ぷはっ……は…」
カトラリーも使わずに手掴みで肉を口に放り込む。歯を立てて食い千切ると、監督の兵士がニヤついて肉を追加した。
「良い食いっぷりだなぁ。犬みてえな卑しい根性が滲み出てら」
「…………ありがとよ」
挑発に乗らない彼に兵士はつまらなそうに舌打ちをした。
「チッ……おら! テメェらもさっさと食え」
年長者である彼が率先して皿の上のものを食べたの見て、他の子供達も食べ始める。
結局空腹に勝るものはなく、全員目の前の皿をキレイに平らげてしまった。
彼が口の周りについた血を手の甲でぬぐい、監督の兵を睨むと生意気だと棒で殴られた。殴られながら他の子供に目配せし、逃げられそうなタイミングを伺わせる。
「ッは……あぐっ!」
「イッてえなこのクソガキィ‼」
腕に噛みつき、暴れ、他の大人たちの注目を集めながら子供たちは部屋のドアへと近付いていく。と、その時だった。
「あ゙ッ……は……が、ああああっ!」
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