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「お気遣いありがとうございます」
「琴音ちゃん……」
「……はい」
「本当に良かった。君の笑顔が戻ってきて」
店長は、包み込むようなとても優しい眼差しで私を見た。
「綾井店長にはたくさん助けてもらいました。ありがとうございました」
私の感謝の気持ちは、「ありがとう」を1000回言っても足りない。
「いいんだ。じゃあね、また」
店長は、そう言って病院を後にした。
私はその背中を最後まで見送ってから、龍聖君の部屋に向かった。
まだ少し緊張してる。
ここだ……
この部屋の中に龍聖君がいる。
そう思うと、すぐにでも会いたいのに何だかドキドキして手が震えた。
本当に……いるんだよね。
恐る恐る、ドアを叩く。
「はい、どうぞ」
ゆっくりとドアを開けると、そこには嘘みたいに美しい男性が横たわっていた。
「龍聖……君……」
ベッドの上にいるのは、紛れもなく私の大切な人。
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