二.前世の天敵から逃れられません

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二.前世の天敵から逃れられません

 新しい教科書、部活動の勧誘に、オリエンテーション。  目まぐるしく一カ月が過ぎ、新緑鮮やかに色味を変えた、五月の連休明け。  新入生たちがようやくクラスに馴染み始めた頃にやってくる、最初の試練――。 「うーん……うーん……」  教室の窓際の席にて、目の前の答案用紙を前に、公花は軽い頭を重く悩ませていた。  受験が終わったばかりだというのに、入学早々、テストがあるなんて。  しかも今回は、試験範囲が非公表の実力テスト。学年における現在の自分のレベルを明らかにされるらしい。 (やっぱり進学校は違うなー)  小・中学校で習った内容からの出題で、テスト用紙の右上には「一般常識レベル」とご丁寧に印字されている。  例えば、問題はこんな感じ。 【地理の問題 次の地図記号について意味を答えなさい】 ①『卍』 (あ、これ知ってる。漫画で見たもん。答えは『まんじ』だよ、楽勝~)  ※違います。 ②『X』 (……ばつ、ばつだから危険? ガソリンスタンド!)  ※違います。 ③『Y』 (洗濯物の物干し竿っぽい形だね。わかった、クリーニング屋さんだ!)  ※違います。
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