空のなか

1/1
前へ
/12ページ
次へ

空のなか

私達が中学生のとき、文樹(ふみき)は野球部で、 私は吹奏楽部だったんだ。 クラスが同じで、よく話すようになって、部活の話もしたんだよね。 「そういえば、野球部のマネージャーを募集してるんだよな。今のところ一人も来なくてさ、どうやったら来るんだよ。」 「私に聞かれても知らないよ。あ、でも私吹奏楽部やめてそっち行こうかなー、ほんと。」 吹奏楽部は曲を一曲完成させるためにみんなと心を一つにして演奏しないといけないんだ。要するに、吹奏楽は団体戦ってこと。 だから、部員同士の衝突が多くて、特に3年生になった今は同級生と意見が合わなくて、ギスギスしちゃうことがよくある。 そんな感じで少し部活が面倒になってきてしまってるんだ。最近はもう、やめちゃおうかなって思うくらい。 だから、ちょうど野球部もいいかなって思ったんだけど、、 「それはだめに決まってんだろ?奏には甲子園で吹いてもらうからさ。」 「いやいや、それ、高校じゃない?」 甲子園って高校だよ。 中学校にそんな機会ないし。 「だから、高校いって、甲子園応援してもらうために、吹奏楽続けてってほしいんだって、な?」 「はあ、分かったってば。」 高校でも吹奏楽部続けろってことでしょ?そんなの正直ゴメンだけど、その甲子園の話が部活のやりがいになった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加