あの日あのとき

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あの日あのとき

私は去年の春、憧れの制服に身をつつみ、美空高校の門をくぐった。 私には幼稚園の頃からの二戸部(にとべ)文樹(ふみき)という幼馴染がいた。 小学校のとき、新渡戸稲造だ!ってからかわれてたっけ。 もう懐かしいレベルだ。 幼稚園にいる間、わたしたちはすごく仲がよかった。 小学校に入るとあんまり喋らなくなってしまったけど、 中学校ではあっちが話しかけてくれて、部活のない日は成り行きで一緒に帰ったり、休日に勉強を教えてもらったり、仲良くなった。 中学校を卒業したとき、文樹に告白されて、付き合うことになった。 その時は全然恋愛なんかよく分からなくて、友達から恋バナを聞くぐらいだったから、どう返していいのか分からなかった。 ずっと自問自答を繰り返して、「私も好きなんだ」っていう自分の気持ちに気づくことができた。 すごく心地よくて、卒業なのに心のなかに、花が咲いた気がしたんだ。
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