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「どうした? 何かあった?」
「あのさ、翠先生、ほんとに他の学校行っちゃうかも知れないの?」
「ん〜……さっきも言った通り、まだ分からないのよね」
「もしまだ居たとしても、おれらが6年生になって、先生が授業してくれるかは分かんないんだよね?」
「そうね……それも分からない」
「おれさ……もう先生に教えて貰えないかと思うと、泣けて来るんだ……」
急に顔を歪め、唇を噛み締めた翔の目から、涙がぽとりと床に落ちた。
「えっ? 翔……くん?」
「先生居なくなったら、おれ、また元に戻っちゃうかも知れない」
翔は肩を震わせながらも、涙を堪えようと、両手で乱暴に顔を拭う。
「翔くん、それは大丈夫だと思うよ。担任の先生から聞いたよ。
この前、また理貴くんと喧嘩になったけど、次の日ちゃんと謝ったんだって?」
「あ、うん。理貴が人気者なの、どうしてか分かったし、おれ、クラスで嫌われ者になるの嫌だと思ったから」
「それ、立派な事じゃない!
さっき私が言った『想像力があれば争いは避けられる』それがちゃんとできてる。理貴くんの気持ちになって考えられたから、ちゃんと謝れたんだよね?」
「そうなのかな……。おれ、他のみんなにも迷惑かけた分、ちゃんとした6年生になりたい」
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