15人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「先生! あのさ、この班になってから、みんな順番にいろんな役割果たして来たけど、まだ何もやってないの、翔だけだったんだよ。
だから、記録係やってくれって頼んだのにさ」
「お前がそう言うから、やっただろっ?! なのに字が下手とか文句ばっか言うからっ」
「下手なんて言ってないっ! 自動車工場の人に質問用紙渡すから、もう少し丁寧な字で書かないと読めないって……」
「下手って事だろ?! ならお前が書け! おれはもうやらない!」
国語や算数のように、一人ひとり黒板方向を向いて座る授業では、起こらないトラブル。
グループ学習では、他人と関わり意見を出し合うからこそ、揉めてしまう事も少なくはない。
些細なこと……
そんなに腹を立てることじゃ……
何故、少し心を抑えて協力できないのか……。
大人からしたらそうだ。
しかし、身体も心もまだ未発達な小学生。
大人のように忖度をしない意見をぶつけ合い、自我を見つめ、成長していく時期なのだ。
それにしても、彼は……
清水 翔は、昨今多くなりつつある『キレやすい子ども』なのは間違いない。
翔が倒れた椅子をもう一度蹴り、床を滑った椅子は、ロッカーに当たって止まる。
そして、教室後ろのドアを乱暴に開けると、廊下に出て行ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!