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小嶋に教室を任せ、私は廊下を突き当たりまで進み、3階から2階に通じる階段を降りる。
やっぱり居た……。
「翔くん」
階段の踊り場の壁に背中をつけて蹲っている翔を見つけ、私は名前を呼んだ。
私の顔を一瞥した翔は、立ち上がり2階に降りる階段へ向かおうとする。
「待って。翔くん」
「教室なんか戻らないからなっ!」
即座に連れ戻されるとでも思ったのだろうか……
私の身体を押し退けるように手を振り回して暴れ出した。
「翔くん、階段の近くで暴れたら危ない!」
拘束するつもりはなかったが、踊り場の真ん中に引き戻す為に、暴れる彼の両腕を掴んだ。
手の自由を奪われた翔は、つま先で私の足を蹴る。
このままこんな場所でやり合っていたら、本気で危ない。
私は彼の背後に回り、抱きかかえるようにして階段から離す。
この1年少しで身長も伸び、体格も大きくなった翔だったが、まだ私より少しだけ小さい。
……とは言っても本気で暴れられたら、大人の私でも必死だ。
翔が足をバタつかせ、踵が何度も私の向こう脛に当たり、痛みを感じた。明日は青アザ確定だ。
私はやっとの事でその姿勢のまま、翔とともに床に座り込む。
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