第一章

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 ね?と相槌を求められてわたしは口ごもった。正直、そこまで考えていなかったというのが本音で、例えばこれがミスコンでなくてブルーベリーのパイ食い競争だったとしてもわたしは参加してしまったかもしれない。お笑いコンテストでも鳥人間コンテストでもなんでもよかった。いやむしろ鳥人間コンテストに参加できるならそっちのほうがずっと良かった。ただ、ぼーっとしてたら目の前に降ってきた「なんか」がミスコンの企画運営だっただけなのだ。  なんかやりたい、と念仏のように唱えてはいたものの、実は「なんか」の中身にこだわりなんかなかったのだ。でもこの場でそれを認める訳にはいかない。 「わたしはだって、何かを作り上げることに意味があると思ってるから」と嘯いた。  剣崎がいかにもお見通し、という風ににやにやとこちらを眺めているのが腹立たしい。 「まあ、ええけどな。でも一つ言っとくわ。聞いた感じ、そのミスコンなんか裏あるで。その柏木ってやつが怪しい」  口を開けば不吉なことしか言わないやつである。そして問題なのは、その不吉な予言が往々にして的中してしまうことなのだ。
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