第五章

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📜📜📜   全て、後で聞いた話だ。  湊さんが実は剣崎に振られたことに心の中でわだかまりを抱えていたこと。前日になって宗教法人が開催する賭けの参加者に剣崎の名前が含まれていることを知ったこと。  剣崎の思惑はつまり、こういうことだった。湊さんはステージ上で教団の企みを暴露する。それで彼女の目的は達成される。問題はその後だ。剣崎はこう踏んだのだ。  湊さんは棄権扱いとなる。  。  よく考えてみたらそうなのだ。わたしたちは湊さんが教団の趣旨を暴露した時点でミスコン自体がもはや成り立たないのだと思い込んでいた。しかし、俯瞰してみればそれは湊さん個人の問題ともいえる。賭けの件だって、湊さんの証言以外、確たる証拠もなかったのだ。信者獲得の目的は断たれたとしても、物事を大きくしないためには運営としては形だけでもミスコンを成功に収めてあとはで終わらせるという判断に傾く可能性は大いにあった。 そうなれば当然、賭けは有効となり、優勝候補であった湊さんが抜けた以上、二番手の候補者に票が集まることになる。そしてもちろん、剣崎は二番手の優勝に賭けていたという訳だ。  候補者の中では湊さんが群を抜いてかわいかったわけだから、ほとんどの人は湊さんにベットしていた筈だ。ということは、それ以外の候補者に対する配当はそれなりの金額になっていた筈である。だからこそ剣崎はあの日病室で、熱のこもった演説をぶったのだ。  なにもかも、。 「くそやな」  ぽつり、と玲人君が言った。
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