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 二人は宿場町の中心部から離れて、町外れを流れる川のそばまで来た。  サミュエルがぼやいた。 「ふう。こんな田舎に来ても、ああいう話しを聞くとはな」 「みんな好き勝手なことばかり言ってますね。今回の王位の乗っ取りは仕組まれたことなのに」 「問題山積か…」  サミュエルは少しの間、空を仰ぎ見ていたが、すぐに気を取り直した。 「こんな国でも、王様になりたい奴はいる。ここから先はそいつらに任せよう。私はごめんさ。やつらが私を追放してくれたのは、天に願いが通じたとしか思えないよ」  サミュエルは最後のほうを冗談めかして言った。これを聞いて、パーシスが楽しそうに笑う。 「私も宮廷に仕えるより、田舎でのんびり暮らすほうが好きです」 「おい、声が大きいぞ」  サミュエルが小声でたしなめた。でも、二人の話しを聞いている者は、誰もいなかった。
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