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 その後、新王は割とすぐに失脚した。  あの宿屋で、都から来た商人が語っていた通り、戴冠式前後の好景気はすぐに勢いをなくして、国庫はさらなる財政難に陥ったのだ。  それで次なる王にその座を奪われたのだが、その新しい王の助言者の中に、サミュエルとかパーシスとか言う名前の者がいたという噂を聞いたことがある人が、いたかもしれないし、いなかったかもしれない。  もしいたとしても、サミュエルとパーシスと言う名は、この国ではありふれた名前であることは事実である。 (終)
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