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「私はね、あなたを傷つけたかったの」
淡々と語る私のことを、ジョシュアは目を丸くして見ている。
「プリムローズ、僕は君のことが!」
「同情ならいらないわ」
思わず薄い笑みがこぼれた。本当に、もういいのだ。
「どうして笑うんだ、こんな時に」
芝居掛かった仕草で台詞を吐けば、彼が顔を青ざめさせた。
桜の花はやっぱり嫌いだ。私の大事なものを、全部連れ去ってしまう。私ひとりを置き去りにして。
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