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回想 *消失*
大学時代に付き合っていた同学年の茅野浩輝と私は、大学3年の6月下旬、ある避暑地へ旅行に行っていた。
上流に行くと蛍が見られるという川のほとりにある別荘地でグランピング施設があり、いつもは予約でいっぱいなのに運良く泊まれることができたのだ。
豪華なベッドやソファ、エアコンまで完備されているテントの内部とは思えない設備に感動し、昼間は綺麗な川で遊んだりバーベキューをしたりした。
夜は川の上流まで歩いて行き、静かに緑色に光る蛍を見た。
その光は恋人を見つけるためなんだろうなとうっとりと見ていた私に、理系の浩輝は『酵素の化学反応で光っている。』だの『食べたらまずいぞと警戒させるために光っているという説もある。』だの身も蓋もないことを言ってきた。
『もーっ。』と言って怒ると『ごめんごめん、柚葉をからかうと可愛いから。』とぎゅっと抱きしめられて許してしまう。
『また来ようね。』
『うん、また絶対に来よう。』
しかしもう帰るという最終日前日の夜、雨が降り出した。
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